神田の住み心地

千代田区神田に住むアラフォーリーマンの日記。神保町、秋葉原、日本橋、大丸有(大手町、丸の内、有楽町)の間という超都心に位置する神田界隈で過ごす日常生活や、暮らしやすさ、うんちくなどを語ります。 Twitter ID:kandazumi

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神田と洪水・津波

こんにちは、GW後半も引き続き都内でくすぶっておりましたが、洪水ネタがアンテナに引っかかってきたのでそんな話題をば。

 

 

GWに洪水ネタを書いているきっかけ

そもそもこんなネタで書こうと思ったきっかけは、昨日亀戸〜スカイツリーあたりを散歩してきたこと。

亀戸天神の藤目当てで繰り出したんだが残念ながら盛りを過ぎてたので、こんなベタな一枚を撮ってさっさと退散。

 

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 藤とスカイツリーツツジの方が目立っていて哀愁を誘う一枚)

 

このまま帰るのもアレだしと思って、ついでにふらふら散歩していたら道すがらにこんなものが。

 

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はい、これが有名な海抜0メートル地帯。

より激しいのはもっと海に近い都営新宿線南砂町駅のあたりでみられるが、この辺り(本所警察署周辺)も洪水や津波のリスクが心配だ、ということになる。勿論普段はカミソリ堤防に守られているので何の問題もないわけだが。

大変だねえ、と嫁と語らいながらさらにふらふら歩いていると、前方にこんな不思議な建物が。

 

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これは科学特捜隊の本部本所消防署で、本所防災館という防災教育施設が併設されている。

本所防災館(無料)の中は体験コーナー(消火器いじったり、台風の風圧体験したりできるらしい)と見学コーナーに分かれている。見学コーナーで特に面白かったのが、下町の地形の歴史的な成り立ちおよび洪水危険度を示す模型(これは特にカッコよかった)と、あと液状化現象の実験装置。

上で書いた海抜0メートル地帯の看板を見た直後に、ここで堤防が切れるとどこまで水が来ますよ、液状化現象で地面はこんな風にぐちゃって建物が沈みますよ、みたいなリアルにエグい内容を見せられてしまったので、我が神田のことも心配になってまとめた次第。

 

なお、内部展示の撮影許可を取らなかったので写真はなし。その代わり、ほぼ同内容の情報を持っているらしい、以下三つのサイトを参照させて頂きつつ、神田の水害危険性を確認してみることにした。

 

(どこに住むにしても)必ず参照すべき情報源

重ねるハザードマップ | 国土交通省

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このサイトでは地図上に用途別のいくつものレイヤーを重ねて、地域の自然災害危険性を確認することができるマップを公開している。近世以前の海岸線を再現してみたりするのもなかなか楽しいのだけれども、災害関係では浸水想定区域と洪水ハザードマップが参考になる。

例えば、荒川堤防が決壊(200年に一度の規模の増水で起こりうる)したパターンと思しき浸水想定区域地図を見てみると、ほぼ外堀通りを境にして東側が浸水危険性があることが分かる。外堀通り東側ではおよそ神田駅前にあたる内神田が0.5メートルの浸水を受けるが、神田多町神田須田町あたりは南端を除きほぼ無事。司町、錦町、小川町あたりは完全に無事。駿河台は高台なのでもちろん無事。

幸い、神田は山麓に開けた街なので、内神田住民は手っ取り早くは神保町方面に向かうか、目と鼻の先にある駿河台の坂を登ればまず大丈夫と思われる。

一方で台東区の下谷界隈(鶯谷秋葉原の山手線東側)、千代田区の東神田界隈(馬喰町や浅草橋)、外神田界隈(秋葉原中央区日本橋・京橋界隈はほぼ全滅と言ってよい。辛うじて銀座の中心部と日本橋三越周辺が島状に浸水を免れるのと、越中島・月島・豊洲陸の孤島(まあもともと島なんですけどね)として残るくらい。新橋もまだらに浸水している。それら以東の海抜0メートル地帯は残念ながら完全に水の底だ。

詳細内容は実際に上記のサイトを操作して確認してみて欲しい。

 

  (下二図はいずれも『重ねるハザードマップ』にて作成の上転載)

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都心部の東側が水没。

水没の程度は黄色の0.5m未満から始まって、最深で紫の6.0m以上まである。

 

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 神田界隈を拡大するとこんな感じ。

この想定ではちょうど「銀座線」と書かれたところ(中央通り)から東側、あと「東京メトロ丸の内」と書かれた東側部分(おおむね内神田に相当)が沈む。

 

これを見ていると、江戸開府以前の地形に沿って水が溢れていく様子がよくわかる。大雑把に言えば江戸開府時点で陸地ではなかった場所が浸水被害に遭っているイメージだ。ほぼ唯一の例外として、洪水対策しっかりの埋立地である石川島、月島、豊洲あたりが陸の孤島になりつつ浸水せず頑張る姿がすごい。堤防と地盤改良対策が功を奏している。さすがタワマンをバシバシ建てるだけのことはありますな。

 

浸水予想区域図(東京都) 

よりミクロに状況確認したい場合はこのページから各河川が氾濫したときの被害を見るとよい。「重ねるハザードマップ」同様に行政区横断で見れるのも良い。また、特定の河川が氾濫した場合のシュミレートができるのも便利。

 

千代田区ホームページ - 千代田区洪水避難地図(洪水ハザードマップ)

こちらは基本的に上記二図(特に国交省)を参考に作られたものなので、洪水域に関する情報量はほぼ同じ。ただし、避難所やら医療機関やらの情報が加えられているので、より生活に寄り添った地図と言える。

欠点は行政区単位の地図なので、道路一本隔てた中央区の状況が全然書いてなかったりするなど、俯瞰性には欠ける。

 

津波の可能性について

津波はどうなんだろ、と思いちょっと調べてはみたのだが、東京都としては津波の危険性はおおむね島嶼部のみ、という認識でいる様子。

津波ハザードマップを公開している東京都の自治体(除島嶼部)は港、品川、太田の3区のみ。

 

www.bousai.metro.tokyo.jp

 

詳細は地図を見ていただきたいのだが、かいつまんで言えば東京湾最奥まで到達した津波が隅田川を遡上したとしても、隅田川の支川には水門が整備してあるので水門を閉めれば内陸に被害が及ぶことはなく、また想定津波規模も2.5m程度なのでほぼ堤防で対処できる、という二点になるようだ。

 

(下二図いずれも『報告書「南海トラフ巨大地震等による東京の被害想定」』第一部より抜粋)

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水門閉鎖時の陸上浸水はゼロだし、水門開放時であっても月島や築地の一部、および大森の一部が浸水するのみ、というのが東京都の想定だ。 

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また、東京湾は浅海なので津波が摩擦で減衰するから海岸に至った時には規模が小さくなっているという説もある。

 

ameblo.jp

 

一方で「東京湾を巨大津波が襲う!」などという扇情的なタイトルの記事もあったりするので、本当のところはどうなのかよくわからん(私には)のだが、私は東京湾三陸級の大津波は来ないのではないかと判断している。

 

結局のところ神田は安全?

私が神田に住むことを決めた時には、古地図、昔の地名、地誌やらを読み込んで、加えてこのブログで紹介した様々な地質情報を確認した上で購入を決めた。例えば古地図や地誌で沼沢地であったことが判明な場所は基礎杭や地盤改良で工夫して安全性が確保されていることにある程度確信が持てないと不安だし、地名は過去の災害を語ってくれることが多い(昨年広島で起こった土砂崩れの際は、土砂崩れ地点が過去には危険を暗示する地名であったことが紹介されたのをご記憶の方も多いのでは)。

神田界隈の不安は海抜の低さ(例えば淡路町駅前入り口で4.4m。比較のために言うと代々木公園駅は21.6mもある。)なのだが、浸水危険度が低いことと、湾岸に行くと1.4mなんて駅があったり、冒頭に紹介した海抜0メートル地帯もあることを考えると、私にとっては許容範囲内かと思っている。

 

 この記事をご覧になるのであれば、ついでに

 

kandazumi.hatenablog.com

 

こちらの地震に関する記事もどうぞ。たぶん役に立ちます。

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