こんにちは!
先週金曜日に街づくりイベント「神田警察通り賑わい社会実験2016」のトークセッションに参加してきたので、今回はその感想をそぞろに書いてみた。
※ 写真は主催側の方にブログに載せる旨ご説明して許可を頂いた上で撮らせて頂きました。
神田警察通りとは?
そもそも「神田警察通り」と言われても神田民以外はピンとこないと思うので場所の説明から入ろう。
地図中央の破線矢印の場所にあるのがそれで、神田駅前北口北側から、共立女子大の方向に東西に設けられた通りだ。
千代田区が公式に問題視し、上記引用資料にもあるように、現状は車道中心でかつ殺風景な道になっている。
そこで千代田区は神田警察通りを地域活性化の起爆剤として使おうと考え、ガイドラインに沿った整備を目指しているという訳。
整備内容は具体的にはこんな感じ。
同じく上記資料より抜粋
この街づくり計画の一環として今回設けられた催しが「神田警察通り賑わい社会実験」だ。
将来の神田警察通りを車中心から人中心の通りに変え、周辺にお住まいの方や働く方にとっての、未来のライフスタイルやワークスタイルを考えるため、トークセッション&ワークショップと小さな社会実験を開催します。
その名の通り、神田駅北側から神田警察署の前を通り、靖国方面へ伸びる神田警察通り。オフィスビルが立ち並び、サラリーマンのまちというイメージのあるこの界隈ですが、江戸時代から脈々と続く歴史あるエリアです。
神保町、お茶の水、大手町、秋葉原など、それぞれ異なる個性をもったまちのちょうど真ん中を突っ切るように東西に走る神田警察通りは、それらのエリアをつなぎ回遊性を高めるハブ的な立地と言えます。が、現状でははっきり言って、何の変哲もない道路。むしろ、緑が少なく、複数車線で意外と車通りも多い。左右には背の高いビルが並び、歩いて楽しめるコンテンツにも乏しい印象で、個性的な町の間を分断してしまっているようにすら見えます。
しかし、この通りが歩いて楽しい町に変身したら、きっとこの神田エリア全体がもっと楽しくなると思いませんか。丸の内OLも、大手町の金融マンも、御茶ノ水の学生たちも、もちろん神田の下町に以前から住む方々も。なんとなく居心地のよい神田にふらりとランチにきたり、帰りに立ち寄ったり…。そんな未来に向けて、トークセンション&ワークショップが行われます!
こんな面白そうなイベント、逃すまじ。
という訳で申し込んだら運良く当選し、参加。
神田警察通り沿いの雑居ビル地下にある会場のイベントスペース
雑居ビルのリノベーション物件、おしゃれな佇まい。
ワークショップをする関係でテーブルに分かれて座る
トークセッション
まず司会進行の方がご挨拶
最初のスピーカーはDavid Simさん
人間中心のまちづくりをモットーに活動しておられる
面白いおじさんでした
歩ける街というコンセプト、神田には低層住宅が多く目線が低い反面、現状の整備が自動車中心になっていること、家族に優しい街への転換のアイディアとして例えば戸建ての高層化(オフィス、住居混合)やパブリックスペースの整備、道路のカラーリングの話などが出てきた(メモ取り忘れたのでうろ覚え)。
続いて馬場正尊さん
「東京R不動産」というサービスで公共財のリノベーション、再生を手掛けておられる
これまで手がけてこられた再生事例の紹介が主で、いかにパブリックスペースを創りだすかという手法についての紹介があった。
例えば河川敷にテラス席を作れるようにした事例とかとても興味深かった。神田川や日本橋川でも出来ないかな。
ワークショップ
続いてテーブルごとにワークショップ。
紙、ペン、付箋などが各テーブルに用意されていて、「神田の魅力や資産」 と「利用したいPublic Space」を洗い出した上で、それらを生かしたまちづくりアイディアを各自発表する。
テーブルの上はこんな感じ
発表後、配られた赤いシールを自分の気に入った発表に貼って投票する。
シールが貼られた発表。こちらのテーブルは「ビル壁有効活用条例」と「大喜利パーキング」の二本立て。
こちらは「裏路地食堂」と「神田祭は大学生を育てる(かな?)」
こちらは「高架下のおじさん大学」と「屋上キャンプ」
それぞれアイディアに遊びが有ってとても楽しかった。
協賛で共立女子大と慶応大が入っていたので、学生さん視点のアイデイアが多かったのかもしれない。
我々のテーブルもいろんな立場からいろんな意見が出ていたので、自分と全く違う属性(例 神田勤務、神田の学生さん、神田の商店主、大手デベロッパー)の人たちがどんな考えを持っているのかが少し分かってよかった。
そして歓談会。本筋から外れるが飯が旨かった。特に真ん中に並んでいる牛ハラミ
取り組みについての感想
全体としてとても有意義な時間だったと感じた。
トークセッションも勿論、ワークショップを見ていると、神田の利害関係者が非常に多岐に渉り、かつ視座も多様であるということに改めて気付かされた。
街にはブリックスペースを作り出す、というのは例えば
このあたりの試みがまさに目指している方向性だし、他の街に目を転じてみると
有楽町駅前
など枚挙にいとまがない。
それこそ今回の後援に入っておられた「公共R不動産」のサイトにも紹介が多くある。
なので、神田警察通りを「種地」としたパブリックスペース構築、大いに期待したいところだ。
神田民からの提案
期待をした上であえて無いものねだりとして、いくつか思ったこと。
まず、神田が「ダサい」原因の一つに、神田駅前から神田警察通りに出る通路の乱れっぷり(マッサージ屋のお姉さんや飲み屋の呼び込みさん)があることに今回の皆さんは気づいておられるのだろうか、という点をやや疑問に思った。
殆どの皆さんは夜には家に帰っちゃうから、例えば吉池の買い物袋下げて神田駅北口出口を出て(特に男性一人で)、マッサージお姉さんや「一杯いかがっすか?」と声をかけてくる呼びこみさんのウザさ(女性だったらひょっとしたら怖さ)がどれだけ街全体の価値を毀損しているかという点に気づかないと、神田警察通り沿いをいかに素敵に整備したところで、人はやってこない。賭けてもいい。だって門番(呼び込みの皆さん)が通してくれないもの。少なくとも私は選べる限りはあえてJR神田駅を避けている。
まあ呼び込みさんもご商売なの必死なのはわかるが、そもそも家に帰る風でスーパーの買い物袋下げて駅を降りてくる人間に対して飲み屋の呼びこみをするという観察眼のなさ勇気には満腔の経緯を表したい。呼びこみさんの目は飾りなんでしょうねきっと。銀紙か何か貼ってあるですか?
加えて、「公共の場所における客引き行為等の防止に関する条例」という法規に明確に違反しているという意識を持っていただきたいものである。
あと、ワークショップでの発表を見ていると、「訪れる人が楽しい」「外から人を呼ぶ」仕掛けが多く、「いかに住みよいまちにするか」という視座が弱い気がした。
勿論それはテーマが「神田警察通り沿いを公共空間とすることで如何に街全体を活性化させるか」というところにあるので、圧倒的にオフィス、飲食、学業というニーズが高い(言い換えれば居住ニーズが弱い)現状ではやむを得ないところではある。要は今回は土俵が違うということだと思うのだけれども。
例えば、地元住民としては、17-20時頃、神田警察通りを通って家に帰るときに、行商のトラックがいて野菜、肉、魚などの新鮮なものが帰宅の道すがら買えたらとても有り難いのだけれど(名づけて神田マルシェ)、おそらく住民以外の「神田関係者」の方は興味が無いテーマだろう(だって地元の駅前なり商店街なりスーパーで買うから)。
最後にこれは蛇足なのだが、「神田警察通り」という名前、固くないですか?
改名をしたらいいような気がするが、一方で改名の結果「かんだキラキラ通り」(かんだ、はひらがなで)みたいなキラキラネーム親しみやすい名前になってしまったらそれはそれで微妙だなあ…
いずれにせよ、これから神田警察通りがどう変わっていくか、楽しみに待っています!
- 作者: 馬場正尊,Open A,木下斉,松本理寿輝,古田秘馬,小松真実,田中陽明,樋渡啓祐
- 出版社/メーカー: 学芸出版社
- 発売日: 2015/04/10
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (3件) を見る