神田の住み心地

千代田区神田に住むアラフォーリーマンの日記。神保町、秋葉原、日本橋、大丸有(大手町、丸の内、有楽町)の間という超都心に位置する神田界隈で過ごす日常生活や、暮らしやすさ、うんちくなどを語ります。 Twitter ID:kandazumi

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街の発展のかたち ー吉祥寺・湾岸・清澄白河・人形町、そして神田ー

こんにちは!
今日は先日散歩をしていて感じたことがあったので与太話。

住む街としての神田の衰亡と再生

前にも書いたとおり、神田は往時には15万からの人口を抱えた商業地兼住宅地だった訳だが、戦災を経て人口を大きく減らし、今では東京でも最も人口が少ない地域の一つになってしまっている。

戦前の人口推移。神田の人口に注目
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http://www.soumu.metro.tokyo.jp/01soumu/archives/0714ku_jinkou.pdf


最近の都心回帰の流れで人口は回復傾向にあるが、同じ都心でも例えば佃・晴海、清澄白河人形町(たまたま最近散歩したので挙げただけなんだけれど)などに比べて話題になることもずっと少ない。それはなぜで、そしてそんな神田界隈の街として再生していく方向性はどっちにあるんだろう。

郊外に住むということ ー吉祥寺ー

これまた前にも書いたと思うんだが、私は東京西郊を中心に生活してきた人間で、例えば結構長いこと吉祥寺に住んでいた。
吉祥寺は人気地域と言いつつ畢竟郊外なので、建物の高さも低く、かつ(駅前以外は)住宅中心の街だ。マンションも多いが、それよりも一戸建てが目立つ。空が広い。
大きい買い物は吉祥寺駅三鷹駅の駅前に、ちょっとした買い物なら点々と中規模以上のスーパーがあり、品揃えも充実している。
普段の移動は自家用自転車。自動車も使う。電車は都心に出るとき(通勤とか)に使うもの。

これはこれで快適なのだけれど、土地に余裕がある郊外だからできる真似な訳で、神田でこれを目指すのは無理。
そうしたら、都心の街のパターンってどんな感じになるんだろう。

ゼロベースからのまちづくり ー湾岸ー

例えばもともと住宅地ではなかった場所にほぼゼロから街をつくったというパターンがある。典型的なのがそもそも陸地じゃなかったり、住宅地じゃなかった湾岸地域。
例えばかつて石川島播磨重工があった石川島(IHI - Wikipedia|住所は佃)は昔の造船所だし、晴海も製糖工場や見本市会場(東京国際見本市会場 - Wikipedia)がメイン。豊洲は埠頭や火力発電所の跡地が多い(豊洲 - Wikipedia
今のタワマン中心の街は後からできたものだ。

タワマン中心なので空は狭い(逆にマンションからの眺めは開けているのだろうし、また水面の上が空いているからそれでバランスが取れているのだけれど)。一戸建てもあるが街の中心はあくまでタワマンというイメージ。
大きい買い物以外では銀座に出るには及ぶまい。豊洲ららぽーとがあるし、それ以外にも域内に中規模スーパーも多い。域内の商業施設を養うだけの人口があるということなのだろう。
交通手段は自転車も使うだろうが、通勤以外でも電車やバス移動が便利、そんなイメージ。

これはグランドデザインがあって作った街なので美しくて利便性も高いのだけれど、如何せん先立つもの(広大な再開発用地)が必要。
建物稠密地帯である今の神田にはこの方向性は無理だ。

下町+再開発 ー清澄白河人形町

神田が目指すべきイメージに一番近いと私が勝手に思っているのが、清澄白河人形町の街づくり。
これは既存の街があって、地上げやらなんやらで一度衰退してしまったのだが、地域コミュニティに支えられた地元の方のがんばりと優れたグランドデザインで住む街としての再生を果たした(果たしつつある)パターン。
一戸建てや低層マンションがメインでありつつ、一方で中高層マンションが供給され(幸い再開発するだけの土地をひねり出せた模様。人形町・水天宮界隈にはタワマンが数棟あるし、清澄白河も中高層マンションがかなりのボリュームで供給されている)、住民が増えた結果地元民が守り通してきた商店街も再度活性化し、また新たな店も呼び込まれ、全体として好循環を起こしているように見える。
人形町は老舗と商店街がすごく充実しているし、清澄白河はそれに加えてキラリと光るおしゃれなお店も多い。

思うに、一戸建てや低層マンションがメインでありつつも、一方で中高層マンションが供給され、住民が増えた結果地元民が守り通してきた商店街も再度活性化し、また新たな店も呼び込まれ、全体として好循環を起こしているのだろう(少なくとも傍目にはそう見える)。逆に言えば、マンション供給などによってそれだけの商圏人口がおこらないと、商店街の活性化も新規店の呼び込みも難しいということなのか。

私が好きじゃないパターン

お前の好みなど知ったことかと石でも投げられそうだが、私が都心でも好きじゃないなあと思うパターンの街というのもある。確たる地域コミュニティも老舗も商店街もなく、オフィスビルがそのまま低中層マンションに建て替わっだだけという街がそうだ。
地元民が地上げで追い立てられてしまい残れなかったので地域コミュニティもろとも商店街も衰退し、人口ボリュームがないからスーパーもなかなか進出せず、商店街がないから日常の買い物も不便で、卵が先かニワトリが先かは兎も角日常の買い物も不便だから中高層マンションの開発もなく…以下繰り返し。

そう考えていくと、やはり肝は地域活性化の起爆剤になるだけの人口ボリュームと、それを受け入れるだけの箱(タワマンやマンション群)なのかなあと思ったり思わなかったり。

神田界隈は?

神田界隈はオフィスビルから住宅地への入れ替えが進みつつ、という部分は「私が好きじゃないパターン」と似ているのだけれど、幸い都心でも屈指とも言える活発な地域コミュニティを持ち、千桜タワー、ワテラス、旧東京電機大学跡地に開発計画(含既成)があり、またこれまた都心屈指の交通利便性もある、という点では伸び代は十分なのかなと思う。
一方で、人口ボリュームの罠なのか、はたまた周りの強力な商圏(日本橋秋葉原、丸の内。少し離れて上野、銀座)に吸収されてしまうのか、スーパーがなかなか進出せず、また商店街の充実度も例えば人形町には及ばない。
商店街を充実させると人口が増えるか、それとも人口が増えると自然と商業施設が増えていくのか、どっちなんだろう。

「千代田区まち・ひと・しごと創生総合戦略」について

千代田区の行政としての街づくりの指針に「千代田区まち・ひと・しごと創生総合戦略」(平成27年)というものがある。

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千代田区ホームページ - 千代田区まち・ひと・しごと創生総合戦略(平成27~31年度)

これによれば千代田区の人口は最大8万人まで増加すると推定されているが、地域コミュニティの強化や育児環境には目配りがあるが、商店街やスーパーの整備について全く触れらていないのが残念なところ。
私はそこが(も)肝だと思うんだがなあ。

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