こんにちは!
神田で神社といえば皆さん神田明神を思い浮かべられると思うが、今回は辻辻にある味わい深い小祠のご紹介。写真多め+記事長めです。
- 伊勢屋、稲荷に犬の糞
- 柳森神社
- (元)金子ビルの社
- 両社稲荷
- 佐竹稲荷
- 出世不動尊
- 御宿稲荷
- 大柳稲荷
- 一八稲荷
- 真徳稲荷
- 和光稲荷
- 松尾神社
- 豊潤稲荷
- 延壽稲荷
- 出世稲荷
- 一口太田姫神社(元宮)
- 太田姫稲荷
- 幸徳稲荷
- 豊川稲荷社
- 五十(栄寿)稲荷
- 寺社散歩の楽しみ
ふつう、神田で神社といえばこちらなのだが・・・
伊勢屋、稲荷に犬の糞
昔からそんな諺があるくらいに、江戸には稲荷神社が多かったらしい。
今はどのくらいあるんだろう、と思って調べようとしたら、ネットでこんな労作を発見。マメな方というのはいらっしゃるもんですな。感謝。
こうして見ると、印が 神田界隈に密集しているのがわかるだろうか。
今回はこの神社のうち神田界隈にあるものを
秋葉原駅→須田町・鍛冶町~内神田~淡路町~駿河台~錦町→神保町駅
というぐにゅぐにゅした一筆書きでめぐってみたいと思う(実際にはこのコースで巡った訳でもなく、写真は撮りためたものも入ってるのだが)。勿論もっと効率的なまわり方があると思うので、神田の神社巡りをしたい方(いるのか?)はお好きなコースでどうぞ。
柳森神社
まずは秋葉原駅電気街口から南に、神田ふれあい橋という歩道専用橋で神田川を渡ると見えてくるこちら。
たぶん今回巡るなかで一番大きい神社さんだ。小祠という規模ではないな。
神社にある石像といえば阿吽の獅子か狐と決まっているものだが、こちらはたぬき(写真中央)。なんともかわいらしい。
境内には低いながら富士塚の跡も
(元)金子ビルの社
次のこの社、実はPokemon Goのスポットにもなっていて(上の写真がそれ)、この写真目当てに歩いていたのだが、探せど探せど見つからず。
改めて写真と実景を見比べてみて気付いた。既に撤去されてますね。色々事情がおありなのだろうが、ちと寂しいなあ。
寂しいのでPokemon Go上の写真と同じ構図で一枚撮っておいた
両社稲荷
こちら、てっきりお稲荷さんマップにある豊川稲荷さんだと思っていたら、実は勘違いだった様子。
豊川稲荷さんも場所的にはだいぶ近いのだが、上のお稲荷さんマップにある写真と社殿がだいぶ違う。
そしてこれ書きながら改めてストリートビューで見てみたら、新しくなる前の社には「両社稲荷」という幟が見えるので、間違いなく別の社ですね。お稲荷さんマップ未掲載。
場所は中央通りから千代田ー中央の区界の小道(旧龍閑川)を東に50mほど入ったところ。
あと、今さら地図見てたら両社稲荷さんのさらに奥にも「福田稲荷」というお社を発見。こちらもお稲荷さんマップ未掲載。網羅しそこねたお社についてはまた拝見しに行きます。
佐竹稲荷
両社稲荷さんから西北に向きを変えて、JR神田駅西口から西口商店街沿いに歩いていると見えてくる。商店街にいきなり社があって面白い。
出羽久保田藩(秋田県)佐竹家の屋敷にあった社なので佐竹稲荷と言うそうな。
因みに、この辺りの旧町名も佐竹家ゆかりで神田旭町と言う(佐竹家家紋が扇に日の丸だったので)。
出世不動尊
佐竹稲荷さんから一本南側の通りを西に歩くとすぐ見えてくる。
不動尊なので神社ではなくお寺にあたるのだろうが、小祠には違いないのでここで取り上げさせていただこう。
先日取り上げた記事
に出てきた出世不動通りというのは出世不動尊さんから名前を取っている。
勤め人たる私としては手を合わさずには居られない。給料上がりますように。
御宿稲荷
出世不動尊さんからさらに西南に進んで、外堀通りを渡ったところ、三菱東京UFJ銀行の路地裏にある。
徳川家康が宿をとったから御宿というそうで…江戸初期由来の古い古い社。ここらあたりは神田界隈の古町のなかでもとりわけ古い三河町があった場所で、岡本綺堂の名作「半七捕物帳」主人公である岡っ引の半七親分はこの辺りに住んでいた設定とのこと。
大柳稲荷
御宿稲荷さんから一度神田駅に戻ろう。駅北口そばの飲み屋街の路地裏をうろうろしているとひょっこり出てくる。神田駅前では有名な居酒屋「三州屋 神田本店」の向かい。
目を引くのは幟に堂々と書かれた「多町一丁目町会」の文字。地名としての神田多町は二丁目しかないのだが、町会名として残っているのだ。
一八稲荷
神田駅前を離れよう。大柳稲荷さんから多町大通りを北に歩き出し、神田警察通りを渡ったら通り沿いに西に、クリーニング屋さんを越えたら右折すると神田まちかど図書館の向かいに見えてくるのがそれだ。あたりはすっかりオフィス&マンション街。
ただ、「見えてくる」とは言うものの実際に見えてくるのは下にある後ろ姿。
後ろ姿。他人事ながら、ここにゴミ置場を設定するのはどうかと思うよ
ちなみに一八稲荷さんからさらに北に行った交差点を東西に走る道はその名も「一八通り」。丁寧に手入れをしておられる様子はうかがえるものの、なんといっても後ろのごみ置場に哀愁を感じざるをえない。通りの名前になるほどのお社なのに、現状はちょっと寂しいなあ。
真徳稲荷
一八稲荷から図書館(実際には図書館・小学校・幼稚園の複合施設)を挟んで西北側の路地裏にある。
小さい小さい社だが、近所の方の手入れも行き届いてとても清潔な印象。
案内板を読むと、地固め、資材運搬、コンクリート打ち等も町内有志で行ったとのことで、住民のお稲荷愛を感じる。
和光稲荷
真徳稲荷から一八通りを西に行ってすぐの路地を左折(北上)してすぐのところ。粉ミルクなど赤ちゃん向け製品を作っている「和光堂株式会社」の公開緑地内にある小祠。和光堂さんの屋敷神なんでしょうね。
日当たりが悪いせいか、ちょっとじめっとしてほこりをかぶった印象があるのが残念。あと、なぜか食用塩が一袋備えてあったのだが、一体なんだったんだろう。
松尾神社
和光稲荷さんから千代田小通りに出て目の前の路地を入ったすぐのところにある。
松尾大社は京都の嵐山にあるお酒の神様なのだが、この松尾神社さんもおそらくお稲荷さんではなく、ここが青物市場だったころの名残でこういう神様を祀っておられるのだろうか。
社殿は古いが清潔な印象。亭々と茂るイチョウがいい味を出している。
豊潤稲荷
松尾神社さんから千代田小通りを北に向かい、靖国通りに出る手前の道を左折したところ。庄之助最中 須田町店の隣。
ここも一八稲荷さん同様にマンションを建てたときに無理やり残した感が出る敷地のしつらえ。実際見てみると結構シュールな印象を受ける。
でも、きちんと手入れされている雰囲気が好印象。
延壽稲荷
豊潤稲荷さんから多町大通り経由で靖国通りに出て、目の前の歩道橋を渡り終えてすぐの路地裏にある。
この記事書くまではこの社が一番敷地が狭いと思っていたのだが、両社稲荷、大柳稲荷、和光稲荷(こちらは屋敷神だから仕方がないね)なども相当狭いので、どっこいどっこいかもしれない。
狭いは狭いが、ここも木が生い茂り、清潔で日当たりもよく、気持ちいい小祠である。
出世稲荷
延壽稲荷さんからアンコウ鍋で有名な「いせ源」方面に向かって、いせ源の角を右折してすぐ。
神田駅そばにあったのは出世不動尊、そしてこちらは出世稲荷。この二社と延壽稲荷さんをお参りすれば、出世はするは寿命は伸びるはでウハウハですね。
都心にありながら意外と広い境内、貴重な空間を提供してくれている。
佐竹稲荷さんからこの出世稲荷さんまでは、神田川―中央通り―日本橋川―外堀通りで囲まれた狭い四角形(御宿稲荷さんだけが外堀通りのわずかに外側だが)に小祠が11(神社だけだと10)も集まっていて、本当に「伊勢屋稲荷と犬の糞」ということわざを確かめる感じのエリアだ(「伊勢」については「いせ源」と「伊勢本店」しかないけどね)。
一口太田姫神社(元宮)
出世稲荷さんからはしばらく社はない。外堀通り→ワテラス→ソラシティと経由して、JR御茶ノ水駅聖橋口まで出ると、聖橋の南東側にいかにも由緒ありげな木が。
の説明によれば以下の通り。
昭和6年(1931年)に、御茶ノ水駅の総武線拡張により、現在地(ブログ注、以下別記)に遷座した。淡路坂上の旧社所在地で御茶ノ水駅臨時改札口脇に残された椋の木には元宮を示す木札と神札が貼られている。
もともとはこの場所に神社があったのか、と思うと路傍の古木が急にいとおしく感じられてくるから不思議だ。
「小祠」といえば、こちらが一番小さいかもしれないね。
太田姫稲荷
上で紹介した元宮からニコライ堂の脇を抜けて南に坂を降りていき、三井住友海上のビルを越えて右折してしばらく歩くとある。
確か数年前に建て替えたと記憶しているので、ピカピカの新しい社殿。角地で神社前に広場も設けてあり、立派なクスノキもあってとても解放的な雰囲気。
新しいか古いかはどうでもいいんだけど、太田姫稲荷さんしかり、ほかの小祠しかり、大事にされている神社を見ると、その街の人気(じんき)を示しているようでなんだか安心しますね。
こちらのお祭りについて以前記事を書いた。
ちなみに、神田地域でも
の三ケ町は神田明神さんではなくてこちら太田姫稲荷さんの氏子町になる。
幸徳稲荷
太田姫稲荷さんから来た道を少し戻って、大通りから一本目の路地を南に入ると見えるビルが次の幸徳稲荷さんになる。
ビルの屋上に神社がある、というパターンは見たことあるけど、神社がビルに組み込まれているというのは珍しいなあ。
ビルは町内会の集会所になっている様子。
豊川稲荷社
幸徳稲荷さんを通り過ぎて南下すると小川町の交差点に出る。そこから靖国通りを渡って、東京電機大キャンパス跡地の方面に歩いていくと、跡地西側にあるのがこちらの社。出来立てらしく太田姫稲荷さんよりさらにピカピカ。
東京電機大キャンパス跡地は再開発ののちオフィスビル等複合施設になるらしく、完成の暁にはこちらもふんわりと再開発地域に組み込まれるっぽい。
これまた不思議な建物が付属しているが、幸徳稲荷さんの場合同様に町会の事務所になっている様子。
西南側から見た東京電機大キャンパス跡地。何もない。
開発計画図。地上げ損ねて歯抜け状に残るビルが痛々しい。左上にある白い四角部分が神社(上が北)
五十(栄寿)稲荷
小祠を巡る散歩の掉尾を飾るのは、こちらの五十稲荷さん。
豊川稲荷社さんからは北にまっすぐ行き、靖国通りに出る手前の小道を左折して神保町方面にしばらく歩くとたどり着く。
結構奥行きもあって、小祠というにはいささか広い神社さんだ。
こちらの説明曰く、
明治時代に入ってからも五と十のつく日には縁日が建つほどの賑わいをみせたことから五十稲荷と呼ばれています。
ということで、正式名は「栄寿稲荷」さんと言うらしい。
木がわさわさと生えていて、都会の真ん中とは思えない。なんだかほっとさせられる。
寺社散歩の楽しみ
五十稲荷さんからさらにまっすぐ歩いていくと、駿河台下の交差点にたどり着く。ここで本を冷やかすなり、餃子やカレーに舌鼓を打つなりして帰ると素敵な散歩が完成する。
寺社散歩というと、谷根千がよく取り上げられるが(谷根千も住んでいたのでわかるが、確かにとても楽しい)、神田の小祠めぐりも決して劣るものではない。むしろ「あ、こんなところに!」という意外感は谷根千にはないものだ。
最後に、この記事を書くにあたって参考にさせていただいたサイトをいくつか紹介させていただきたい。
1. 猫の足あと
寺社情報の専門サイト、比較的大きいところしか載せていらっしゃらないものの、千代田区も充実
2. KANDAアーカイブ:神田資料室
特集
お稲荷さんのある町
神田を歩いていると、思いがけない場所でお稲荷さんに遭遇することがある。
神田地区には大小合わせておよそ30社のお稲荷さんがあるが、ビルの屋上や屋敷内に祀られているお稲荷さんまで入れれば、相当な数になるだろう。
今回は、町の人々に大切に守られてきたお稲荷さんにせまってみた。
こんな楽しげな読み物がたくさん、おすすめ。
3. 千代田区観光協会
寺社仏閣のみならず、見どころがいろいろ紹介されいる。
神田に住むのはさておいて、まずは秋の散歩日和に神田の小祠散歩などいかがですか?