神田の住み心地

千代田区神田に住むアラフォーリーマンの日記。神保町、秋葉原、日本橋、大丸有(大手町、丸の内、有楽町)の間という超都心に位置する神田界隈で過ごす日常生活や、暮らしやすさ、うんちくなどを語ります。 Twitter ID:kandazumi

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アキハバラ大会議に参加して ―輻輳する主体―

 こんにちは!
 今回は普段の守備範囲を越えて神田川を渡り、アキハバラ(あえてカタカナ)からお届けしたい。

 相変わらずマネジメントの靴舐めで意外と忙しく&心に余裕がなく、気がつけば二週間近く経ってしまったが、2月12日に参加させて頂いた「アキハバラ大会議」に参加しての雑感など。
 なお、本記事は予め主催者様に写真撮影ならびにブログ執筆に関して許可を頂きました。快諾いただいた事についてまず感謝申し上げ、同時にこのような野心的な試みを実行に移された力量に敬意を表します。

どういうイベント?

どういうイベントだったのかについては主催者様側で発表されたものを読んでいただくのが一番手っ取り早いのだが、簡潔に述べれば

秋葉原が抱える問題はどのように解決すればよいのか?これからも魅力的な街であり続けるためには何が必要なのか?

(主催者サイトより引用)

をみんなで考える場、として持たれた催しだ。
 関心がある人達みんなで、「より良いアキハバラ」にしていくためにブレストしようよ、と言うことだ。
 以下、実際の流れに沿って紹介していこう。

1. 開催挨拶と問題意識の簡単なシェア

こんな感じでスタート。

主催者の一人、菊地さん。
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 前半は壇上(演壇ないけど)からブレストの前提として、この場が何を求めて開かれたのか、私(講壇者)はアキハバラについて何を考えているのか、についてアイスブレイク的なトークが続く。

会場内はご覧のとおりの大盛況
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2. グループ分けとテーブル内での簡単な自己紹介

 濃ゆいメンバーなのかな、と思っていたら、意外と普通(失礼)で戸惑った。テーブル内で特筆すべきことがあるとすれば、シャア・アズナブル氏がいたこと位だろうか(後程シャア氏がホンマに偉い方であることが判明する件は後述)。
 幼児連れ参加の方も居らして、ここぞとばかりに這い回る幼児と追いかけ回すお父さん、という微笑ましい(たぶんお父さんはすごく大変)光景を見ながら、簡単な自己紹介。アキハバラ住民はやはり少数か、ていうか私もアキハバラ住民じゃないんだけどね。

謎の円盤(後述)を囲んで椅子が配置されている。
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3. インスピレーショントーク

 
 ① アキハバラ大会議 菊地映輝氏
 主催者さん。問題意識について前パブから更に踏み込んだ内容(アキハバラの均質化、内輪ノリによる浮き上がり、問題発生時の事業者の責任、競合する場所の出現)などについての意見や紹介などがあった。学術サイドからのアプローチ。

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 ② Akiba.TV株式会社 杉森浩一氏
akiba.tv
というサイトを中心に、クーポン事業などをやっておられる。ビジネスサイドからアキバの競争力維持向上についての提案と取り組みの紹介。

 ③ AKIBA観光協議会運営者 阿部裕貴氏
www.kankokeizai.com
この記事にもある通り、秋葉原が『観光庁から2016年度「地域資源を活用した観光地魅力創造事業」支援地域に選定されたことを受け7月20日に発足』した団体の運営者。
 やはりビジネスサイドから、秋葉原が「らしさ」を失い、そして来訪者の満足度が低下していくことに対する対策を仕掛けていくイメージ。

アニメキャラをあしらったPPTがアキバらしい
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 ④ アキハバラ大会議 中村香住氏
 トリは同じく主催者さん。ビジネスサイドからのアプローチから学術サイドに回帰して、所謂「萌え産業」についての実態とイメージの乖離について、「いかがわしさは問題なのか」という問題提起、行政の動向などの発表を頂いた。

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 こんな感じで四者四様のトークが続く、いい意味で内容がバラバラなのでとても面白い。
 思えばこの辺から今回の雑感である「輻輳する主体」が見え隠れしていたのだな。

4. ワールドカフェ「2020年以降の秋葉原を考える」

 ここが白眉だったと思うわけだが(いや前半も非常に面白かったのですが)、
 ① テーマ1:秋葉原の問題点とその解決策
 ② テーマ2:「2025年の秋葉原はこうなる」
の二テーマについてワールドカフェ形式でのブレストを行うという参加型のコーナー。
 先ほど出てきた謎の円盤は、このタイミングで円座を組んだみんなの膝の上に載せてテーブルとして使うのです。
一体感が出てGood。
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ワールドカフェのルール説明の様子
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 このコーナーではそれこそありとあらゆる多様な意見が出た。「神田川の舟運を復興させよう」「中央通りを地下化しよう」みたいな気宇壮大な構想から、「アキバのニッチな店舗まで観光客がたどり着けるような地図等を整備しよう」「萌え店舗の健全認定制度を作ってはどうか」みたいな現実的なアプローチまで、聞いてて面白い面白い。
 ただ、いちいち語り尽くせないし、別途主催側でまとめて下さるとも思うので、私としてはそれらを聞いたうえでの自身の雑感を述べようと思う。なんか月並みの感想になっちゃったとは思うのだが、そこは私の頭の限界というやつなので察してやってください。

雑感

 「アキハバラは戦後から今まで一貫してニッチでグレーなところをかいくぐって来た街なのだから、それを売りにしてせいぜいメディアに煽ってもらおう」(大意)
 某参加者さんのこの意見に結構強烈な印象を受けたので、まずはここから語り起こすことにしよう。ただし、このコメントに反感を覚えたとかそういうのではないので念のため。こういうエッジの立った意見、わたしは結構好きです。

 まずこれを聞いて思ったのは、この意見の大前提は、語り手が「ビジネスサイド」「サブカルサイド」のスタンスで話しているなあということ。
 そしてインスピレーショントークやほかの方の意見を自分なりに咀嚼した後にさらに思ったのは、私たちは「アキハバラ」(サブカル発信地/萌え系等新しいご商売)と「秋葉原」(電器店等古くからのご商売)と「外神田」(新住民)と「神田○○町会」(旧住民)といった四つの場がベン図のように重なり合ったところで話をしているのだ、ということだった(「」内は分かりやすいようにつけたキーワードみたいなものだ。実際にはこんな単純なものではないだろう)。上には4つ(5つ?)の主体しか書いていないけれど、書こうと思えば、行政、警察、オフィスワーカー、秋葉原駅乗り換え利用者、外国人観光客などなど、幾らでも出てくる。
 そして、複数の「場」に所属する人も多い一方、基本的にどれかの属性が強くなるため、(フラットな意味で)「ポジショントーク」が多くなる傾向は否めない。
 例えば新住民ポジションの私に意見を述べさせれば、


 みたいな意見になるけれど、一方でサブカルポジションの人にはスーパーなどよりむしろ新しいイベントスペースのほうが大事かもしれない。警察からみれば治安が第一だろうし、或いはオフィスワーカーにとってはこの雑踏はただうるさいだけかもしれない。勿論これは私が適当に書き散らしているだけだし、百人いれば百通りの意見があるから「この主体はこういう意見だ」などとまとめることはそもそも出来ない。先程も書いたように実際にはこんな単純なものではない筈だ。しかも厄介なことにこの問いには「正解」はない。
 
 そして私がまさに問題だなあ、と(同時に問題解決の糸口になりうるのではないかと)思ったのは、それらの複数の互いに輻輳する主体が一堂に会する場、つまりまさに今回の「アキハバラ大会議」のような場、がこれまで無かった(は言い過ぎでも少なかった)のではないか、ということ。
 参加されていた方のお話を伺いつつ形成された私の一方的な印象だが、どうやらそれぞれの主体を代表する団体が自分の「より良いアキハバラ」を心に描いて乱立し、各団体同士の交流がない様子が伺える。
 まとまって動かないからお互いの主張の落としどころを見つけられない、なのでお互いに不満が残る。そして解決策はいつまでも見いだせない。
今回のインスピレーショントークの皆さんのように、輻湊する主体同士が一堂に会せば、何かいい知恵が浮かんでくるのではと思うのだが(三人寄れば文殊の知恵という奴だ)、現状で例えばサブカルの担い手と町会と新住民三者間での意見交換の機会がどれほどあるのだろうか甚だ疑問だ(事実誤認があれば訂正頂きたく、宜しくです)。

 たとえば同じ住民といっても新住民の方から旧住民(というか町会)への強い不満なども耳にするなど、決して一枚岩ではないと感じたし、同じビジネスサイドでも所謂萌え系のビジネス(私の理解が不足しているのでこういう表現になってますごめんなさい)とダイオード売ってここまでやって来た電気街のビジネスでは、「良い方向」の意味するところが全く異なるだろう。ましてや「新旧住民」―「ビジネス」―「サブカル」―「警察」などという横串を刺すのは容易なことではない。
 本来であれば横串を指す、コーディネーターやファシリテーターとしての役割は行政に委ねたいところなのだが…

 各自「良い方向」を目指しつつ輻輳する主体たちはどこに向かうのだろうか。
 まとまりのない感想で恐縮だが、今日はこの辺で。おそまつ。
 

補遺

 ラウンドテーブルで隣に座っておられたシャア・アズナブル氏。
 前半と後半の間に設けられた宣伝コーナーで壇上に登場。
 コスプレをしてのゴミ拾いを提唱して痛く感じ入った次第でした。
 有言実行、流石です!

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秋葉原は今

秋葉原は今

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